遊び人が遊びすぎたときに起こる罰とは何なの?

健のあんなに泣きそうな顔を見たのは初めてだった。俺は思わず笑ってしまった。「おいおい、どうしたんだよ。泣きそうな顔しちゃってさ」「痛いんだよ」ものすごく小さな声で健は言った。蚊が通り過ぎるときの羽音レベルだったので、俺はちょっと心配してしまった。「おい、大丈夫か? おなかか?」健がおなかのほうに手を当てているので、俺はそう言った。きっと、盲腸に違いない。「違うんだよ、アソコ」健はまた小さい声で言った。歩くのも内股気味で気色悪い。「アソコってアソコ?」「あぁ、そう」「でも、何で痛いわけ?」「おしっこが痛くてできない」そのとき、俺はピコンと閃いた。そう、健は性病にかかったのだった。「おい、それって性病だろ?」「今から病院に行くんだ」「絶対、そうだな」俺は、また笑いがこみ上げてきてしまった。健の「プレイボーイ」っぷりは周囲でも有名だった。抱いた女の数は百は超えるだろう、なんて言われていた。とにかく、暇があればナンパをしていた健。むしろ、今まで性病にかかってないのが奇跡だろう。「ちなみに、どんな子とヤったんだよ?」俺はそのことが気になった。「まぁ、それはいいだろ」いつもはオープンに武勇伝を話す健が今回はなぜか黙秘権を行使。「えぇ、今後の参考にするから教えてくれよ」俺のこの台詞に健はさらに泣きそうな顔をした。これはアソコの痛みではなく、心の痛みによるものだろう。「……なんだ」この日、いちばんの小さい声でリスニングは不可能だった。「なんだよ、もう一回言えよ」「だから、彼女なんだよ」今度は俺が黙ってしまった。聞いてしまったことを後悔した。遊び人の健が彼女とエッチをして性病になったということは、ある事実を秘めていた。そう、彼女が他の男性と浮気をして性病を伝染したということなのだ。それが健にうつった。自分は浮気しまくっているとはいえ、この彼女の浮気の発覚の仕方は後味が悪いなあと思ったのだった。

このページの先頭へ